JAZZ-11- 穐吉敏子 ― ジャズに“和”の魂を吹き込んだ日本人ピアニスト

2025.10.28

日常

穐吉敏子 ― ジャズに“和”の魂を吹き込んだ日本人ピアニスト

ジャズを聴いていると、「これは誰にも真似できないな」と思う瞬間があります。
そのひとりが、世界的ジャズピアニスト 穐吉敏子(あきよし・としこ) さんです。

 

バークリー音楽大学で奨学生として学んだ日本人女性

穐吉敏子さんは、アメリカの名門バークリー音楽院(現・バークリー音楽大学)に、
日本人として初めて奨学生として迎えられたピアニストです。

戦後の日本から単身アメリカへ渡り、男性中心のジャズ界で本場の舞台に立つ――
その道のりは、まさに開拓者のようでした。

 

ジャズと日本の響きを融合させた『孤軍』

1973年、ロサンゼルスで「秋吉敏子=ルー・タバキン・ビッグバンド」を結成。
そして翌1974年、代表作『孤軍(Kogun)』を発表します。

この作品は、ジャズと日本の伝統音楽(和楽)の融合をテーマにした意欲作。
初めて聴くと、不協和音のようにも感じられますが、
耳を澄ますうちに独特の響きが心に広がっていきます。

西洋の音は「縦に揺れる」ように広がり、
和の音は、雅楽のように明確なリズムはないが「横に揺れる」ように広がる――。
穐吉さんの音楽には、そんな“揺らぎ”の対話が息づいています。

 

ロサンゼルスで輝く日本人たち

いま、野球界ではロサンゼルスを舞台に、
“スーパーマン”のような日本人選手たち3人が注目を集めています。

同じ街で半世紀前、
和服姿でピアノを弾き、アメリカの聴衆を魅了した女性がいたことを、
ぜひ思い出してほしいです。

穐吉の音楽は、時代を超えて“日本人が世界に響かせた音”の象徴です。